犬、4歳児を襲う
秋の日溜まりの中で、とろとろと午睡をむさぼっていたはずだ。
ロットワイラーと秋田犬の大型犬2頭は、放し飼いになっていたのだそうだ。
ロットワイラーは、アメリカ人の好きな犬種である。
主人思いで、しかも他人になつかない。
比較的、訓練も入りにくい犬種である。
いわゆる強盗などから家族を守るためのガード犬として飼育されることの多い犬種である。
犬のために一言付け加えるなら、家族によくなつき、普段から接しているなら子供に歯を立てるような犬種ではない。
秋田犬(あきたいぬ)は、同名で異なる犬種が幾種類か居る。
秋田犬の登録団体によって、それぞれ異なる認定をしているためである。
昭和一桁の日本犬復興ブームの時に、日本犬大型として天然記念物としての指定をされたが、実は古来からの日本にいた犬種ではない。
日本各地で、古くには闘犬もよく行われていたようだ。
人の集まるところで、興行として行われたことが多いのだそうである。
特に秋田佐竹藩主は闘犬を好んだというのである。
しかし、土佐犬が大型化を図ると秋田犬は連敗したのであっただろう。
闘犬に勝つためにマスティフやグレートデーンの血を入れて大型化させたのだった。
元は、盛岡犬(絶滅)などの猟に使用するものと同様の中型犬だったという。
今日のような立ち耳巻き尾の犬種として完成されてきたのは、ごく最近のことと言えば、口が過ぎるだろうか。
秋田犬も咬み事故の多い犬種として時々報道されるが、適切な飼育方法であるなら、何の問題も起きない優秀な家庭犬だが、性格的には気むずかしいところがあるのはやむを得ない。
出自が闘犬種なのだ。
秋田犬が天然記念物指定された昭和10年頃に、素晴らしい秋田犬を購入するために、東京にあった畜犬店(今で言うペットショップ)は、東京(日本橋だっただろうか)にあった家を売って金を作り、その一頭を譲り受けたのだとか。
4歳の孫が遊びに来たので、祖母は犬たちが放されていた庭に孫を置いたのだそうだ。
自分に慣れているからと言って、幼児に慣れていると錯覚したのだっただろう。
目を離せば、事故が起きるのは当然の状態である。
私もよそから譲り受けた小型犬の子犬を同犬種のおとなしい雌犬の小屋に入れて、ほんの十分ほど客の相手をして、その子犬が噛み殺されたことがある。
不注意なのだ。
どんなに悔やんでも、命に代わりはない。
個々の命はそれぞれの命である。
小型の非常に良く懐いている、おとなしい犬種ですらそのような事故は起きる。
私自身が幼児の時期から犬と一緒に育った、犬には非常に詳しい知識を持っている人間であっても、事故を防ぐことはできないのだ。
大型犬を飼育するというのは、それなりの責任が伴う。
責任を全うできぬ者は、犬を飼育するべきではないと、改めて思う事故である。
冥福を祈りたい。


